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  • 執筆者の写真寺田まり/MariTerada

旅立っていった師匠

数日前、寝る前になんとなしにFBを覗いてみた。すると、心から尊敬してやまない方の訃報の知らせが目に飛び込んできた。その方の遺影の写真を見て’なにこれ!こんな悪い冗談!’って憤慨しながら、その方のご親友の書かれた投稿を読んだ。

するとその記事の二日前に突然具合が悪くなり、亡くなられたとのことだった。

にわかには信じられなかったのはその1週間前にその方からCDを聴きにまたいらっしゃい、とのご連絡を頂いたばかりだったからだ。


その方とは芸大卒の音響学専門の方で過去に何度かお宅へお邪魔させていただいたことがあった。家中ところ狭しとばかりにCDが山高く積み上げられていて、お部屋の中心には素晴らしいステレオが置かれていた。

私の演奏を聴き、好みの演奏スタイルや作品を的確に知り、お邪魔すると「今日はこれを聴きたいかなぁと思って」といい、テーブルの上には何十枚ものCDが積み上げて用意されてあった。それらをひたすら一緒に聴きながら曲について語り合う。そして私の演奏についてもこのようにするとどうだろう、今はこういう感じでの演奏スタイルだけどこういう曲をやっていくのもいいと思う、などまるで教師と生徒のような関係だった。なので

いつ頃からか自然と「師匠」とお呼びし、アドバイスを求めるようになっていった。


来年7月にはお体の具合が良くならないので故郷へ帰ることにした、だからその前にCDをよかったら聴きにいらっしゃい、というのが最後のメッセージとなってしまった。

旅立ってしまわれてからまだ数日しか経っていないけど心の中の穴の大きさにただただ心細さと悲しみで、あのときにすぐにお邪魔しておくべきだった、と後悔の思いも今となってはどうにもならない。


昨年末のメッセージには私がその前に新しいプログラムとして提案したものに対して、もっと果敢なプログラムに取り組む時期だ、といつものように説得力ある理由付きで書いてくださった。

結局、アドバイスという観点からはこれが彼からのラストメッセージになってしまった。


彼からは宿題としての曲が与えられている。

それらを一つ一つ丁寧にものにしていけるようにするのが師匠への一番の供養かとおもっている。

今までありがとうございました。

RIP....



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