「正に自家薬籠中の名演」

寺田まり 3eme CD リリース記念コンサートから

「音楽現代」 2017年3月号

3枚目のCD発売記念。難しすぎることも通俗すぎることもないバランスの取れたセンスの良い多彩な

選曲。
前半はCD収録曲中心の小品集。まずはリスト「ウィーンの夜会」第6番を第1版で、演奏もセンス良くまとめられていたが適宜トークを交えながらの進行も聴衆を魅了。次のプーランク即興曲第14番&15番「エディット・ピアフを讃えて」も寺田が傾倒する作曲家だけに実に瀟洒な演奏。続いてはラフマニノフが4曲(前奏曲嬰ト短調&ト短調,「音の絵」ト短調&ロ短調),そしてゴドフスキー編のサン=サーンス「白鳥」。さらにリスト/リゴレットによる演奏会用パラフレーズが弾かれたが寺田のリストはこれみよがしのテクニックよりブリリアントなピアニズムが光っておりチャーミングの窮み。
後半は得意のシューマンで「謝肉祭」。シューマンといえば「才気煥発」だが寺田のピアノにはそのまま当てはまり正に自家薬籠中の名演。アンコールは
ブラームスにCD所収の珍しいリャードフ「オルゴール」。(11月6日 ヤマハホール)   

浅岡弘和