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「情感に満ちたデリケートな弾き方の名演」


「音楽現代」2019.12月号 浅岡 弘和

​寺田まりピアノリサイタル~舞曲への誘い~

​9月1日 ハクジュホール の演奏会から

寺田まりが舞曲への誘いと題したユニークなリサイタルを開いた。前半はまず ファリャのスペイン舞曲第一番。適宜トークを交えながら。次は グラナドス/12のスペイン舞曲から「アンダルーサ」「オリエンタル」 「ロンダーリャ・アルゴネーサ」の3曲。これらはリズミックにというより寺田らしい情感に満ちたデリケートな弾き方の名演だった。一転ショパンのワルツで、作品64の3と大円舞曲。どちらも雄弁で変幻自在な演奏、ことに後者は華麗なる舞踏会の世界を構築。そして再び ファリャで 「火祭りの踊り」。ルービンシュタインの一尺上げもかくやと思わせるような熱演。さらにヒナステラの アルゼンチンの舞曲から3曲を演奏。

後半はまずパブストとハフによる超絶技巧が冴え渡ったチャイコフスキー 「眠れる森の美女」パラフレーズ。最後は得意のラヴェルで「なき王女のためのパヴァーヌ」に 「ラ・ヴェルス」。トロメライなど3曲のアンコールの最後は陽気なジャズ調のモーツァルト/トルコ行進曲。

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