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  • 執筆者の写真寺田まり/MariTerada

フェルマータの意味

朝食を取りながらテレビをつけたら、どうやら最近の若い人たちの多くがドラマや映画を見るとき、倍速で見るとのことだった。どういうことかというと、ドラマなどで会話と会話の間に「間」が長いときは飛ばしながら見たり、初めから⒈3倍速とか⒈5倍速で見るのだそう。そうすると全てのシーンだけでなく会話も早口になり、時短になり、他の情報も手に入れたいという現代の人たちには良いらしいのだ!!少し年代が上のコメンテーター達は「いや、オリジナルでみないと監督や作者の真の意図がつかめないと思う」という意見があり、激しくうなづきながら、同時に多数の情報をインプットする能力がある人たちを羨ましくも思ってしまった。


ここでふと思ったのが、音楽にあるフェルマータのこと。楽器を演奏する方はこの写真の記号を目にすることもあるかと思う。これは一般的には”書いてある音価の⒈5倍長く伸ばす”というように説明されたように記憶しているけれども、本当は単に長く伸ばせば良いというものではないのだ。この長く伸ばすというところに作曲家の込められたメッセージがあるわけで、それまでの音楽の流れが一旦終わり、新しい何かが次に来る、そのつなぎとしての緊張感であったり、気持ちを一旦そこで十分収めた上での気分をかえるためのものであったりと解釈しなくてはならない大切な音の、あるいは休符の保留なのだ。これを”時短”にしたいからといって弾き飛ばしてしまったら作曲家の意図を全く無視したということになってしまうだろう。


デジタルの恩恵を受けて、物事を簡単にサクサクと処理できる時代に生きていることは素晴らしいことだ。でも、大切な心のゆとりは持ちながらバランスよく生活していけたらなぁと思った朝でした。


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